11年前の1998年夏、麻布十番納涼まつりの最中に起こった不思議な話を友人から聞いて当サイト掲示板に掲載したが、今回は、その話を再びご紹介。
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投稿日付: 1998年 10月 14日 05:37
名 前: DEEP AZABU
e-mail :
タイトル: ちょっと怖い話!
以下は、10年ほど前の納涼まつりが終わって間もなく、友人のKさんから届いた
メ-ルからの抜粋です。(本人の了解済みです。)
祭りそっちのけで、十番の山忠で三田の友人と二人で飲んでたんだが
飲み飽きて酔った勢いで、30年ぶりに麻布山にクワガタを探しに行くことになった。
氷川神社の横の路地から塀を乗り越えて墓地に入った。
最初は真っ暗でなにも見えなかったが、その内に目が慣れてくると墓地もだいぶ変わっていて目当ての木はもう無かった。そして旧田宮二郎邸裏の鐘突堂も無くなっていた。むかしあんなに獲れたのに、なんて
感慨にふけっていてふと気がつくと、一緒だった友人がいない!
呼んでみたが返事もない。その手の悪ふざけをするような奴でもないので、しばらく待ったが10分位しても、戻ってこない。だんだん怖くなってきたので、携帯で電話をかけて気を紛らしていると、ひよっこり、そいつが戻ってきた。どうしたんだと尋ねると、恐ろしい事を、言い始めた。
誰かが呼んでいるので行ってみると、とある墓の前だった。そして墓の方から何やら声がする。
良く聞いてみると、「ここを守れ」と言っている。ホームレスでもいるのかとしばらく様子をみたが、まったく人がいる気配がない。しばらくその声は聞こえて、止んだ。そして戻ってきたと言うんだ。
その話をきいて、不思議と怖いとは思わず、私もそこへ連れていけと言って、行ってみた。
すると真新しい墓で一族の墓が何基か並んで柵をめぐらせてある立派な墓だった。オレには何も聞こえなかったが、良く考えてみると「ここを守れ」とは明らかにこのあたりに高層マンションが建設され、墓所が縮小される事を言ってるんだと思った。
私には何も聞こえなかったが、友人が私をからかったとも思えない。第一、そいつは、マンションの計画のことは、まったく知らなかった。
とりあえず、線香が無かったのでその墓に持っていた新しいタバコに火をつけて供養し、出来る限り力になることを祈ってきたが、何とも不思議な出来事だった。
世の中、訳の解らない事って、あるんだな。
という訳で、麻布山のクワガタは永久に獲れなくなってしまった。
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●後日談
私がこの話を聞いたのは彼が体験した直後で、元麻布ヒルズの建設計画が周囲にも周知され始めた時期だった。そして後日、確証のためにK君と昼間墓地を訪れ、私も声がしたというその新しい墓所をはっきりと確認した。が、しかし.....
11年ぶりに当時の様子を思い出そうと、先日(2009年8月)墓所を訪れ、かなり丹念に探したが.....該当する墓所は、すでに存在しなかった。
また、この時の様子を克明に語ってくれたK君に連絡し当時のことを聞くと、.....そのようなことが起こった事を彼は全く覚えていなかった。(当時も今も、K君は冗談やホラでこの手の話をする人間ではない。)
たった11年で、当時出来たての大きな墓所が消えてしまい、体験者の記憶から完全に消えてしまった。
私の感覚からすると、どちらもあり得ない事のように思うが、声の主は、
.......いったい何を伝えたかったのだろうか。
元麻布ヒルズ 2002年竣工