2012年11月10日土曜日

大食いの幽霊

今回は明治8(1875)年12月7日付の読売新聞から「大食いの幽霊」というはなしをご紹介します。


江戸末期の阿部氏屋敷
麻布霞町(現在の西麻布1丁目付近)の華族阿部邸の敷地内の無人の家に、斎藤という家族が引っ越してきました。その晩、荷物を整理して やっと床に付くと妻と三男に恐ろしい大男の幽霊が見えたそうです。
その幽霊は、

「この家に住んだからには毎日白米三斗を炊いて煮しめを添えて我に差し出せ。もし一日でも怠ったならば家内残らず取り殺す。またこの話を他言してもやはり取り殺す。」

と言って消えました。
恐れおののいた斎藤家では翌日より菓子や寿司などを供えましたが、毎日ではとても家計が続かないので三日目には芝のほうに引っ越していったといいます。
新聞は、

「そんなに食いたがる幽霊が有りますものか信濃から日次に麻布まで出てくるのなら格別。」

と結んでいますが、私には意味が良く理解出来ません。





明治期の阿部邸