麻布七不思議-江戸の七不思議
これまで麻布七不思議のという麻布で語り継がれてきた昔話をお伝えしてきましたが、以前、麻布七不思議-不思議話の生まれる背景でお伝えした、
水辺や台地端にかつての聖地があり、江戸が開発されてゆくプロセスで、聖地も変化する。しかし周辺の地域の人々には、そこが聖地であった 証を不思議な現象として記憶にとどめておこうとする意図が、これらの世間話には反映している。
という不思議話の生まれる条件がほぼ同じで似た状況の地形や環境を持つ芝高輪・白金、赤坂・青山地区には何故か「七不思議」という形では昔話が残されていません。推測ですが、港区域では何か特別な状況が「麻布」だけに存在して、語り継がれるべき伝説を多く残しているのかも知れません。
江戸には麻布以外にも貴重な七不思議が伝承されています。これら地域の状況と麻布を比較してみるのも面白いかも知れませんので、そのいくつかをご紹介します。
○本所七不思議
- 置いてけ堀
- 馬鹿囃子
- 送り提灯
- 落葉しない椎の木
- 津軽の太鼓
- 消えずの行灯
- 足洗い屋敷
○番町七不思議
- 城家の団子婆
- 朽木の幽霊
- 狸囃子
- 足洗い
- 宅間稲荷の霊験
- 番町の番町知らず
- 八つの拍子木
○江戸城七不思議
- 深夜の馬の蹄
- 行方不明の軍用金
- 本丸御殿の踊る白狸
- 北の御部屋の猫
- 願いの松
- 血水の井戸
- 夜泣き石
○吉原七不思議
- 大門あれど玄関なし
- 河岸あれど船つかず
- 角町あれど隅にあらず
- 茶屋あれど茶は売らず
- 新造にも婆あり
- 若い者にも禿あり
- 遣手といえども取るばかり
○八丁堀七不思議
- 奥様あって殿様あり
- 女湯の刀掛け
- 金で首が継げる
- 地獄の中の極楽橋
- 貧乏小路に提灯かけ横町
- 寺があって墓がない
- 医者儒者犬の糞
○馬喰町七不思議
- 鼠に似た怪しい異国の獣
- 卵を生む女房
- 犬の珍しい行為
- 天水桶の溺死
- 仲裁後の手傷
- 三日月井戸の暗号
- 先祖の因縁がめぐる御霊社詣
○東海寺七不思議
- 鳴かぬ蛙
- 片身の鱸
- 片生の銀杏
- 潮見の石鉢
- 血の出る松
- 火消しの松
- 千畳吊りの蚊帳