2009年8月28日金曜日

本当にあった怖い話① たいまつ


秋めいたかと思うと、蒸し暑くて眠れない夜が来たりの昨今だが、今回はそんな寝苦しい夜にうってつけの「本当にあった怖い話」を2回に分けてご紹介。

小学校低学年のある夏の夜、あまりの寝苦しさで夜中に目が覚めてしまった。家族もすでに寝静まっていたので、なんとかしてもう一度寝ようと思ったが目が冴えてしまい、なかなか寝付けない。さらに最悪なことに尿意を催してしまった。当時おねしょ癖がなかなか抜けなかった私は、またやったら叱られるとの思いから勇気を振り絞って、我慢の限界でトイレに行くことを決意した。しかし、これは私にとって大冒険だった。

当時、人一倍の恐がりであった私は、この頃まで夜のトイレは父か母を起こして必ず同行してもらっていた。その理由はお化けは勿論だが、当時夕方の再放送で「恐怖のミイラ男」というとてつもなく怖い番組があったためだ。
(この番組は現代の子供が見ても卒倒するほど怖いと思うのだが....。)

そして、やっと一人で行けるようになった深夜のトイレに入って用を足そうと、何気なく窓の外に目をやった。当時私が住んでいた、宮村町の家の窓からは隣のお寺の本堂が見えた。その本堂のあたりで何か明るい物がチロチロと動いているのが目にとまった。最初は何だかわからずにしばらく見ていたが、やがて松明を持った人が歩いているのがわかった。

こんな夜中に害虫退治でもやっているのだろうか?

などと考え、不思議と恐怖心は起こらなかった。それからしばらく眺めていると、30メートルほど移動した松明は、とつぜん消えた.....。
やがて用を済ませた私は、そのまま布団に戻り、そのことは忘れ朝を迎えた。

翌日、朝食の時に父に昨晩のことを話してみると、父曰く
「松明なんて持っている人がいるわけがない。夢でも見たんだろう?」さらに、
「もし本当なら、人魂じゃない?このあたりはお寺も多く、昔は罪人の死骸をうち捨てた場所だったという噂もあるって近所の祈祷師が言ってたぞ!」っと......。

その時初めて、ゾッとして鳥肌が立ったのを、40年以上が経過した現在でもはっきりと覚えている。

昭和30年代後半とはいえ、当時たいまつなどは私も見たことがなく、明かりをとるならば、懐中電灯がすでにどこの家庭にも常備されていた。

ゆらゆらと動きながら、赤く燃えさかっていた割と大きめなあの光は、一体何だったのだろう........。

そして、その晩から深夜のトイレには、ふたたび親を伴って行くことになったのは....言うまでもない。