2013年5月21日火曜日

麻布の野生動物-その3

前回は目撃情報や実際のインタビューから得た情報により麻布を含めた港区域にはハクビシンなどの生息が確実視出来るようになった事をお伝えしました。
しかし、それは港区域固有の現象なのか、また他所も同様なのか理解できなかったので、東京の野生動物の著書などを書かれている宮本拓海さんのサイト「東京タヌキ探検隊」にお邪魔させて頂き、またメールで数々のご教示を頂きました。

そのなかで2009年当時、宮本氏の承諾を得て当サイトに掲載させて頂こうと考えていた文面がこちらです。

-----------------------------------

(以下宮本氏からのメール)

白金・白金台のタヌキの生息については
私が現在特に注目していることのひとつで、
来年1月に公開予定の報告書では重要なトピックになる予定です。
過去の生息分布図をご覧になるとおわかりのように、
港区にぽつんと孤立した生息があります。
これは偶発的な目撃と考えていたのですが、
最近になって、どうも定住集団がいるのではないか
と推理するようになりました。
集団を維持するには確実に繁殖できる場所が必要です。
その場所は自然教育園と考えられます。
自然教育園ならば複数の家族が定住することは可能で、
そこから外部へ旅立つ若い個体が必ずいるはずです。
この近辺でのタヌキの目撃情報は、
2006年~2008年に3件あります。

2件は南麻布、1件は白金台です。
(白金台の情報は今年になって得られたもので、
今年1月の報告書には反映されていません。)
いずれも自然教育園からは離れていますが、
自然環境から言って自然教育園に生息していないはずがありません。
白金・白金台というと「セレブ」なイメージが強いのですが、
タヌキの生息という観点から見ると
自然教育園、寺、学校、お屋敷(広い庭がある)、庭園など
生活しやすい環境がそろっているように思えます。
残念ながら麻布方面は緑地が少ないので
タヌキには暮らしにくそうです。
(寺が集中している地域を除く。)
書籍「タヌキたちのびっくり東京生活」では、23区のタヌキの分布を
7つのグループに分けています(ホームページには未掲載)。
これらには白金・白金台の集団は含まれていません。
しかし、どうやら定住が確実と思われるため
次の(来年の)報告書にはこの集団を新たなグループとして
紹介することになるでしょう。
名前は「白金グループ」にするつもりです。
セレブなイメージを狙ったわけではなく、
「白金長者」という歴史的な由来のある地名ですし、
最大の拠点が自然教育園=旧白金御料地、白金長者屋敷跡地である
といった理由からです。
この白金グループのタヌキは全体で多くても30頭程度の
小さな集団と思われます。
ぎりぎりで集団を維持しているのではと推測されます。
またこのグループは周囲のタヌキ生息地から孤立していることが
気にかかります。
以上、ご参考になりましたでしょうか。
白金は麻布の領域内ではありませんが、
南麻布では実際にタヌキが目撃されています。
麻布一帯でも目撃できる可能性はあります。

(ここまで)

-----------------------------------


このメールによると、麻布でのハクビシン目撃例も多数あり、また南麻布ではタヌキの目撃例もあることなどから当時の宮本氏は麻布域でのタヌキの生息の可能性も否定していません。このあと宮本氏は「白金グループ」を正式に追加し、港区内唯一のタヌキの生息を確定しました。
港区内野生動物生息状況
しかし、このあたりまで調べた時点で、急遽サイトに載せることについて、ためらいが生じました。それは、インタビューの中で場所は非公開という方や、オフレコという方もいらっしゃり、また何よりも恐らく港区南部域の野生動物の中心となっているであろう自然教育園の生態が乱される恐れがあることが懸念され、これま調べた内容をすべて封印してしまいました。

そして四年が過ぎた今年3月、恵比寿駅前でタヌキが捕獲され、その様子がテレビのニュース番組で放送されました。やはりタヌキが生息していたのかと再び野生動物の情報を検索すると自然教育園では、私が学芸員にインタビューし否定的な見解をお聞きしていた2009年頃、園内に仕掛けた自動シャッター定点カメラにはハクビシンとタヌキの姿が写されていました。さらに昨年2012年夏には二匹の子タヌキが生れ、最低でも四匹が園内で確認されたこと、そして池に落ちて身動きがとれなくなっている子狸を救出したことなどが園のスタッフブログに写真付きで掲載されていました。 
このように自然教育園内の情報が発表されたことにより、私が危惧していた場所の判明という根拠を失ったため、四年前の情報を公開することとしました。
さらに最新情報をみなと保健所から再び受領してみると、四年前にもらった情報より目撃、通報は増えていました。
その中でも特筆すべきは麻布の東町小学校前で今年になってからハクビシンが目撃されていることで、四年前の宮村町周辺と並んで麻布中央部での生息が想像されるようになりました。私見ですが、この生息には有栖川公園や、ほぼ有栖川公園と同程度の面積を有する元麻布一丁目の寺院群(麻布山善福寺・興国山賢崇寺・一松山大乗院長伝寺・松本山徳正寺)敷地が大きく関与しているように思えてなりません。


また、この4年間での状況の変化を宮本氏に教授頂きました。
宮本氏は港区域の最近の傾向として、

・タヌキは減少傾向
・ハクビシンは爆発的とはならないが増加傾向

であるとの見解を述べられています。
また、保健所への通報例もやや増加しているようで、中には目撃をまた聞きしての通報もあるようです。
そして捕獲の依頼をしている通報も増加しており、区では野生動物なので直接駆除は出来ないが、緊急措置として屋内に住み着かれてしまった場合などは駆除業者の紹介などをしているようです。

ハクビシンにおいてはほぼ港区全域での目撃情報があるため、複数のグループの存在が確実視されています。
一例として、

・浜離宮グループ
・大門・芝公園グループ
・愛宕山グループ
・麻布我善坊・狸穴グループ
・麻布中央部(宮村町竹谷町、本村町[元麻布・南麻布]辺)グループ
・西麻布グループ
・高輪グループ
・白金グループ
・赤坂、青山墓地グループ


などがあると想像(グループはDEEP AZABUの個人的な想像で、ハクビシンの行動半径からするともう少し集約されるものと思います。)され、それぞれのグループ間をある程度交流しているものと思われます。
動物はグループ内の近親婚を繰り返すとやがて絶滅の方向に向うそうです。これを避けるには他グループとの交流が必要で、そのためにはグループ間を行き来できるコリドー(回廊)が必要なようで、ハクビシンの場合は電線、線路、河川敷などがコリドーの役目を果たしているようです。
しかしどうしても大通り(外苑西・東通り、明治通りなど)を渡らなければならない場合もあり、その際に多くの目撃情報が発生するものと思われます。

前出、今年3月にJR恵比寿駅付近で野生のタヌキが捕獲されニュースとなったことをご記憶の方も多でしょうが、残念ながら現在港区域でタヌキの生息が確認されているのは自然教育園のみのようです。
ただし、過去には赤坂御所、皇居のタヌキが国会議事堂周辺や赤坂付近で目撃されているようです。そして、宮本氏によると他グループとの交流が希薄となっていると思われる自然教育園のタヌキはやがて減少、絶滅の方向ではないかとの危惧をお持ちのようです。

また保健所では、
ハクビシンなどは、自分から積極的に人間を襲うことはないので、建物等に侵入されない対策など共存の可能性もレクチャーしているようです。
しかし、屋根裏などの建物内に住み着かれてしまった場合、衛生面などから健康被害が出る場合もあるので、駆除業者の斡旋なども行うようですが、その際の経費はすべて依頼人に請求され現在は補助なども適用されないようです。

サイトの管理者である宮本氏は、

都市住民と野生動物とのつき合い方を考えてもらいたく サイトを立ち上げ自身のスタンスを、

実害があれば駆除もやむなし、しかし大半では実害はないので放置

としています。

このあたりの都市部における人間と野生動物の共存についての意見があくまでも私見としながらも杉並タヌキおつきあいガイドライン(私案)として「東京タヌキ探検隊」サイトでに掲載されていますので、是非ご一読をお勧め致します。そして、私たちも野生動物とどう共存していくのかを再度、地域やコミュニティなどで考えてみる必要があると思います。 
またハクビシンとタヌキの特徴を比較したイラストを「東京タヌキ探検隊」のご厚意により転載させて頂きましたので、ご覧いただけますと幸いです。

そして野生動物と思われるものを目撃した場合は、前出「東京タヌキ探検隊」で目撃情報を募集しているようですのでご協力をお願い致します。

 「東京タヌキ探検隊-目撃情報連絡方法 」

また港区内で、住居等に野生動物に侵入されてしまった場合などは、

みなと保健所

に相談することをお勧め致します。

最後にこの項を書くにあたって四年前も今回も多大な情報提供、またご教示を頂いた宮本拓海氏とそのサイト「東京タヌキ探検隊」そして氏の著書、「タヌキたちのびっくり東京生活 都市と野生動物の新しい共存」に多大な謝辞を述べさせて頂きます。宮本さん、ご協力誠にありがとうございました。














タヌキの特徴(成獣、冬毛) 
画像提供:東京タヌキ探検隊!






タヌキの特徴(幼獣、夏毛) 
画像提供:東京タヌキ探検隊!










ハクビシンの特徴
画像提供:東京タヌキ探検隊!



その他アライグマやアナグマの特徴なども掲載された東京タヌキ探検隊!はこちらからどうぞ











 
 
 
 
 
 
 
 
 
 























 
 
 
 
 
 





深夜の東京都心にハクビシン現る!