2013年4月23日火曜日

麻布七不思議の定説探し

今までに数度「麻布七不思議」を取り上げましたが、今回は不思議話の内容ではなく、そもそも麻布七不思議 って何だろうという素朴な疑問を追ってみました。


麻布中央部の不思議話分布
麻布七不思議は多くの書物が取り上げていると思っていましたが、よく調べてみると麻布の不思議話は数多い ものの、七不思議として定義されているものは意外に少ないことがわかりました。そして定説となったと思い 込んでいた江戸時代の書物に「七不思議」と定義されたものは、見つけることが出来ませんでした。
これは「七不思議」という言葉自体が明治期に西洋文化が取り入れられたさいに「the seven of wonders of the world」 が伝わったときにその訳語として表されたというのが定説となった。っと、想像しました。Wikipediaによると、

七不思議(ななふしぎ)は、7つの不思議なものや現象を数え上げたもの~

~紀元前2世紀にビザンチウムのフィロンの書いた 「Επτ? θα?ματα του αρχα?ου κ?σμου (世界の七つの景観)」の中で  景観と訳されている {lang|el|θα?ματα}} とは、ギリシア語で「必見のもの」といった  意味である。つまり、本来は「怪しい」「ありえない」といった意味は含まれていない。~

~しかし、英語では「Seven Wonders of the World」、日本語では「世界の七不思議」などと  訳されたた~
また、エンカルタによると古代ギリシャ・ローマ人が驚異の対象とした7つの建造物を世界の七不思議 とし、

1.エジプト・ギザのピラミッド
2.バビロンの空中庭園
3.オリンピアのゼウス神像
4.ギリシャのアルテミス神殿
5.ハリカルナッソスのマウソレイオン
6.ロドス島のコロッソス
7.ファロス島の灯台
と定義しています。

しかし一方では日本には古来から、

七転び八起き
七難隠す
七転八倒
なくて七癖
七曲 ななまがり
七世転生
などという言葉があり、「七」と言う数字には、特別な意味合いが込められているような気がします。 また、七不思議は「名数 (同類のものをいくつかまとめ、一定の数をつけて呼ぶもの。)のひとつであり、「七」の項目はその他にも多く存在しています。


このように、本来の意味とは違うニュアンスとなって広まってしまった七不思議ですが、麻布においての七つを特定するのはさらに難しいと思われます。
下記の表は麻布の不思議話を「七不思議」または付随して「その他の不思議話」 と定義して掲載されたものを図書館のレファレンス等を利用して集めたものですが、個人の主観、 年代などにより大きく選定内容が変わっています。表中で、 7.一本松と11.秋月の羽衣松、6.永坂の脚気石と9.かなめ石等は同じものを表していると伝えられ(一本松と秋月の羽衣松が 同義というのには個人的には疑問を感じますが。)さらに七つの選択を困難にしています。

また、書籍8.東京百話は黒沢明監督の師にあたる映画監督の山本嘉次郎が書いた「麻布七不思議」を参照していますが、 これによると「くらやみ坂のオイワシコイ」、「なんとか様(大名邸)の泣き人形」など山本嘉次郎のみが伝える不思議話が掲載されており、これに至ってはその話の内容も不明です」。

またこの表を別の切り口で見ると、

・麻布総合支所B1壁面と続・麻布の名所今昔
・鳥居坂警察署誌と郷土史家中山狐村氏説

では麻布七不思議の定義が完全に一致しており、前者が後者を底本としていることが伺えます。そしてこのような事を調べる上では 「バイブル」ともいえる麻布区史は、第五章「雑祖」の冒頭で麻布七不思議を取り上げていますが、
~ただその擧ぐるところに各異説があって、書物により口碑により夫々異聞がある。従ってこれを合計すると十数不思議、否二十五六 不思議になるのである。~
としながら「東都新繁昌記」、「東京風俗誌」、「郷土史家中山狐村氏説」の三説を取り上げ、 あえて自らは七つの定義を避け、18の不思議話を披露するに止まっています。





麻 布 七 不 思 議 の 定 義 と 現 存
平成20年9月現在
名  称1234567891011121314七不思議回数その他回数計備  考
麻布総合支所壁面東京風俗誌東都新繁昌記江戸の口碑と傳説郷土史家中山狐村氏鳥居坂警察署誌麻布区史東京百話続・麻布の名所今昔十番わがふるさと港むかしむかし江戸の闇・魔界めぐり麻布六本木歴史散歩「お化け」生息マップ
発行年明治34年大正7年昭和6年昭和6年昭和16年昭和45年昭和49年昭和55年不 明平成10年平成17年平成17年
No.七不思議定義数現存777777187777877麻布七不思議と定義されたもの
その他の不思議0036?0020310080七不思議と定義されたもの以外の不思議話
1柳の井戸○●●○●●●●617善福寺境内
2狸穴の古洞×●●●●●●●●●●10010アメリカンクラブ下斜面近辺?
3広尾の送り囃子×●●●●●●●○●●9110広尾橋~天現寺近辺
4善福寺の逆さ銀杏○●●○●●●●●●●●●●12113善福寺境内
5蟇 池(がま池)△●○●●●●●○●●●9211がま池・蝦蟇池 現在見学不可
6永坂の脚気石×●●●303かなめ石と同義
7一本松○●●●●●●606五代目。別名冠の松とも秋月邸の羽衣の松とも
8六本木×●●●●○●●●●819六本木
9かなめ石×●●●●●●●707六本木5-16-47路傍にあった
10釜なし横丁×●●●●○○●○538絶江坂近辺 落語に登場
11秋月の羽衣松×●●●●○●516一本松と同義との節も
12東町の鷹石△●●●○●○426大田区磐井神社に烏石として現存
13狸穴の狸蕎麦×●●○○●325狸橋に由来あり
14狸穴の婚礼×●○○123狸穴
15大黒坂の猫又×●○○123大黒坂
16我善坊の大鼠×●○○○●235我善坊の猫又ともいわれる
17古川の狸蕎麦○●○○●224狸橋近辺 由来碑あり
18谷町の遊女屋敷×●○112不明
19二本松の赤子×●○112不明 六本木の旧二本松藩主 丹羽邸か?
20白金御殿の一本足×●○112不明(白金御殿は麻布御殿と同義)
21七色椿×○●○●●○336西町旧ベネズエラ大使館近辺。昭和12年枯死
22古川の狸囃子×●○112古川端
23我善坊の僧×●101我善坊谷
24狐しるこ×○●○○○145四ノ橋辺
25紅毛久助の墓○○○022墓所は光林寺 アメリカ通訳 ヘンリー・ヒュースケン
26村上喜剣と寺坂吉衛門○○011曹渓寺
27狸坂の狸×○011別名 旭坂
28狐坂の由来×○011別名大隈坂
29こうのとりがつたえた霊薬×○○022麻布長谷寺
30お亀団子×○●○○134永坂辺 落語としても有名
32お竹大日如来○●○112心光院
33寒山拾得の石像×●○112秋月佐渡守邸(現麻布中学)にあった石像
34夜叉神の石像○●○112麻布長谷寺
35陰陽石×●○112良縁、安産にご利益があった。がま池付近
36烏帽子形の石×●○112森川家石像
37麻布のキ(気・黄)が知れん×○011むかし、むかし4-55参照
38くらやみ坂のオイワシコイ×●101不明
39なんとか様(大名邸)の泣き人形×●101不明
● 七不思議として取り上げられた話○ その他の不思議話
※ 名称をクリックすると詳細説明が、現存の○△×をクリックすると地図がご覧になれます。



上記の表から登場回数の多い不思議話を回数順で、書籍で定義された「七不思議」、「それ以外」に分類して グラフ化したのが下記の図である。

①は表の項目そのままで、②は同義項目を合算したもの であるが、定義としては②のほうが現実に近いと思われる。また一部の順序に不整合があるが、これは 私見で判断した。これをもって麻布七不思議の定説!などと定義するつもりはまったくないが、ご自身が定義する七不思議の参考にはして頂けると思う。


① 著書に取り上げられた回数別の麻布七不思議Best7(表順)
(七不思議基準)
順位名称現存七他計1234567891011121314151617
1善福寺の逆さ銀杏○12113
2狸穴の古洞×10010
3蟇 池(がま池)△9211
4広尾の送り囃子×9110
六本木×819
5かなめ石×707
6柳の井戸○617七不思議
7釜なし横丁×538
8秋月の羽衣松○516その他の不思議話
9東町の鷹石○426
10七色椿○336
② 著書に取り上げられた回数別の麻布七不思議Best7(同義項目合算)
(七不思議基準)
順位名称現存七他計1234567891011121314151617
1善福寺の逆さ銀杏○12113
2一本松(秋月の羽衣松)○11112
3狸穴の古洞×10010
かなめ石(永坂の脚気石)×10010
4蟇 池(がま池)△9211
5広尾の送り囃子×9110
六本木×819
6釜なし横丁×538
7柳の井戸○617七不思議
8東町の鷹石△426
9七色椿×336その他の不思議話
10狸蕎麦○325



この項をもとに今まで何気なく知っていた「麻布七不思議」をご自身で新たに定義して頂くのも宜しいかと思います。また根岸鎮衛の「耳嚢」が 最近のブームで「新耳嚢」として新しい感覚で定義されているのと同じく、「新・麻布七不思議」を定義してみてみるのも一興かとおもいます。

蛇足ですが私が考える「新・麻布七不思議」は、

1.六本木ヒルズ毛利池の水源
2.十番納涼まつりのマナー
3.四の橋近辺の古川の鯉
4.がま池の公開
5.元麻布ヒルズの形状
6.麻布山地下壕
7.有栖川公園の蛍養殖


スミマセンm(__)m、趣旨がちょっと違いマシタ.....。














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